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Hōkele Malama Columns

親ページが「Residencial Azul」から「Hōkele Malama」に変わったので、このBlogのタイトルも変わりました。渾身の(とまではいかない)Columnページです。

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ささやかに人生を変えるもの

いらっしゃいませ、

「人生が変わる」というと、とても大仰に聞えてしまうけれども、

例えば、ものの感じ方や、ちょっとした価値観が変わる、とか

見慣れた風景や心象に、パッと色彩が加わったり、とか

みぞおちの辺りに滞っていたものが、すぅーっと溶けて

何かからひとつ自由になったような気がした、とか

そんな瞬間が、今までの人生のところどころにあったと思う。


人や仕事との出会いは、そういった瞬間的な邂逅ではないような気がする。

そんな刹那は、映画や本の方が与えてくれるものなのだ。

映画や本を、「絵空事」と言い捨ててしまうことは容易い。

映画や本なんかで、人生経験を積めるなんて思うのは甘っちょろい。

でも、やっぱり、映画や本で、さっと目の前が拓かれることだってある。

それは、そのとき気づくときもあるし、あとあと、ああ、って思い出すときもある。

(音楽は?ってふと考えるけど、個人的な見解だけど、「刹那」なものではなく

割と長くじっくり人や人生に影響を与えるものだと思う。特定の音楽なり曲なりに「ビビっと

出会って...」て語る人の音楽性って割と浅かったりすることが多いような

気がするのだ。)


自分をささやかに変えた映画の1つが、

エリック・ロメール監督 「友だちの恋人」

本当に普通の人たちの、普通の日常の物語(フランス人のパリの日常なので、

そういう意味では、日本人にとって奇異な部分はもちろんあるけど)。

社会に出て10年ほど経ち、仕事や恋愛や友情、そもそも人生なんてドラマティック

でもなんでもなく、平々凡々に過ぎていくことを十分悟っていた。

そんな頃、この映画を観て、ちょっと毎日の自分の周りの風景を、映画の主人公たちに

重ね合わせたりしたものだ。


劇的に何かは変わるものでもない。でも、今思うと、あの頃、毎日を楽しめるように

なっていったと思う。

よく私は人にこんなことを言う。

「今の自分と、10年前の自分のどちらが幸せかなんて言えない。1本の線上にあるものを

比較なんかできない。今が幸せだから、(状況の違う)あの頃がそうでなかった、なんて

言えない。その時はその時で、しあわせだったし。」

自分を、少し離れたもう一人の自分から観る。映画が、そんなことを教えてくれたような気がする。

最近、それがあまりうまくいかないのは、映画をあまり観ることがなくなったからかな、

なんて思ったりもする。


他にも、私が(無意識に)支えられていた映画は、数知れない。

でも、この一本の映画を取り上げたのは、理由がある。

今週、この映画を撮った巨匠エリック・ロメール監督が亡くなった。89歳。


合掌。
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被写体に恋をしたらシャッターを押し、フワフワしてきたら文章を書き、もわもわしてきたら花に水をやっています。
写真のこと、旅のこと、本のこと、言葉のこと、音のこと、などを描いて撮ってます。

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