いらっしゃいませ、
箕面の一の橋を渡って小道を登っていったところに昔動物園があった、と私はずっと信じてきた。

先日、箕面にちらりと紅葉を見に行った際、一の橋のたもとで待ち合わせをしている間に、Kにその秘密を打ち明けた。
「昔、この坂の上に動物園があってん。」
「!」
「小さいとき行ったことがあって、なんかわからんけど『跡地』っていう感じの空間があって、子供の頃からなにかな、なにかな、って思っててん。でも、絶対なにかの跡やと思っててん。昔宝塚に行く前の動物園があったって、聞いて、絶対ここやと確信してん。」
「確認しに行こ!」
その日はもう暗くなりかけてきたので断念したのだけれど、っていうか、もしかして幼い頃の思い込みが増幅しただけの妄想なのかもしれないから、行くのが怖いのもあって...、家に帰って調べてみることにして、そのまま龍安寺までぶらぶら歩いて引き返すだけにした。
この道は、何度往復したことだろう。昆虫館がきれいになっていたり(かといって、絶対入らないし)、古い家屋がカフェ風になっていたり、公園から遊具が一切なくなっていたり、変化は幾つかあるけれど、道の角度や距離感はしっかり身体に張りついている。
そう、再び、猿たちが下りてきている。昆虫館のあたりまで来ている。観光客達はデジカメのフラッシュを煌々と焚いて猿たちを撮る。猿たちは興奮して雄叫びをあげる。
いっぺん襲われてみぃ。
幼稚園にあがるかあがらないかの年頃のとき、母と私は猿の集団に襲われた。猿が母の足を引っかいたことと、後ろを振り返ることもなく一目散に逃げていった兄の背中はしっかり覚えている。

猿はこわいよ。「幻の動物園」探索も、もし猿に遭遇したらと思うと怖くて二の足を踏んでしまう。
私がそうだと思っている場所が跡地の一部であるのかどうかは調べきることができなかったけれど、
http://www2.city.minoh.osaka.jp/KOUHOU/MOMIJIDAYORI/MOMIJI0412/0412h4.pdf
http://homepage1.nifty.com/okonomigaki/200410/a1.html
当時の動物園の大きさを考えると可能性がないこともない。
たとえそうでなかったとしても、子供心に感じたあの「跡地感」、秘密の場所をひとつ見つけたようなあのときの興奮は大事にしておきたい。そんなことを思い出す、晩秋の午後。
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