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Hōkele Malama Columns

親ページが「Residencial Azul」から「Hōkele Malama」に変わったので、このBlogのタイトルも変わりました。渾身の(とまではいかない)Columnページです。

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快楽と冒険

いらっしゃいませ、
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「引越し先には近所に図書館がある」と以前書いたのだけれど、本の数がそれほど多くないので、読みたいと思っている本がなかったり、出会いを求めて本棚の間をくるくる廻るのだけれど、さほどの収穫がない。3冊ほど借りて、それもぐいぐい読んだので2週間で返すことができたけれど、この2週間のタイムリミットというのがけっこうプレッシャーになる。


第四の手」 ジョン・アーヴィング
街道をゆく 阿波紀行・紀ノ川流域」 司馬遼太郎
オリンピア ナチスの森で」 沢木耕太郎

「街道をゆく」では、紀州「雑賀寺」の部分でふと顔を上げた。

「あれ? 行ったことあるやんね、ここ」

去年、確か気の知れた人たちとバンに乗り込んで、和歌山ドライブツアーをした。うら寂しい境内と(確か工事中)、何かいてそうな墓地しか覚えてない。ああ、無知のままこういうところに行ってはやっぱりだめだな。とはいえ、雑賀寺に行くなんて全然頭になかったし、かといって行くと分かっていてピンポイントで司馬さんのこの本を選ぶのは不可能に近い。こういうときは、もう一度行くしかないのだ。

「オリンピア ナチスの森で」では、レニ・リーフェンシュタールのことと、彼女の「民族の祭典」のことを知る。

「え? レニ・リーフェンシュタールって、『ヌバ』の人!!?」
「へえー、『民族の祭典』って、単なる”ナチス万歳"オリンピックの話じゃないのか」

2冊読んだあたりで、自分の無知さを思い知るが、どんな瞬間も「新しいことを知るチャンス」を提供してくれる、この「読書」という、「人間にだけ許された『快楽』」にまたもやガツンとやられる。

なので、「本を読む習慣のない人」「一時期、本を読み漁った時期を経ていない人」っていうのは、共感できない人が多い。私の世代は、子供の頃から普通に本を馴染んできている人が多いけれど、ある年齢層の人たちにはけっこうこういう人がいる。もちろん、今は映像やネットなんかで、いろんな知識欲は満たせるかもしれないけれど、その深みや、冒険にも似たときめきは本にはかなわないなぁ、って思う。

さて、図書館の本を読み終えた後は、

「読みかけで積んどかれてる本を、ちゃんと読み終わる」

という課題を自分に与えてみた。

自伝の小説」 李昂
ピギー・スニードを救う話」 ジョン・アーヴィング

「自伝の小説」は、まあ読むのはきつい。いろんな理由があるので、ここでは述べないが、まあ内容そのものも重い。なので、仕事から帰って、夜寝床で読むにはあまりにしんどく、放置されていたのだ。今回もきつかったけど頑張った。全く知らなかった「謝紅雪」という人の存在を知る。この本を読んだ後、台湾の歴史や中国との関係を、今までは「点」で捉えていたことに初めて気づいた。この本は1人の女性を通して、「線」としてそれらを再考できる。それによって、私自身の意見や気持ちが変わることはないのだが、新しい視点を得たことで、その意見や気持ちの「層」が厚くなったように感じた。これも、醍醐味。

「ピギー・スニードを救う話」はどうしてほったらかしになってたんだろ。短編集だから、いつでも読めると思ってほっておかれたのかなぁ。いやあ、アーヴィングは短編も面白い。淡々と風景や心象が流れて、何事も起きずに「思わせぶり風船」がフワフワ舞うような短編も多いけれど、ちゃんと短い中に色々な事件を混ぜ込むこの筆力はさすが。だってこの人、長編の中で登場人物が書いた「短編」を入れ込んじゃう人だもの。「ペンション・グリルパルツァー」は、「ガープの世界」の中でガープが書いた処女作。その後の「ホテル・ニューハンプシャー」のエッセンスも楽しめる一品。この短編のフルコースは美味しかったです。

そんなこんなを書いていたら、また本を探しに行きたくなった。図書館、本屋、そして自分の本棚。人に「面白い本ない?」って聞くのも楽しい。自分探しより絶対ためになる、本探しの旅。

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被写体に恋をしたらシャッターを押し、フワフワしてきたら文章を書き、もわもわしてきたら花に水をやっています。
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