いらっしゃいませ、

「この駅、昔は『西鹿児島駅』だったんですよね。」という会話に、シティービュー(鹿児島市の観光コースを巡回するバス)の運転手さんが反応する。
「何年前に来られたんですか?」
ウン十年前とは言えないので(言っても別にいいんだけど)、「だいぶと前です。」って答えると、西鹿児島駅が「鹿児島中央駅」に変わったのは3年ほど前とのこと。あと3年待つと、この駅に新幹線がやってくるから、大阪から近くなりますよ、って嬉しそうに言われた。今でも十分近いんですけどね(伊丹空港から1時間10分)、とは言わずに、にこにことしている。
この街は、ニコニコとしていられる、気持ちのよい街だった。ことばの抑揚が、知らず知らず人の心持ちをゆったりさせる。あんまりゆったりしすぎていて、隙だらけなところもあって、それはそれでまあいいか、と。
「鹿児島中央駅」が「西鹿児島駅」だったころ、「天文館」という地名に少しわくわくしながら1人でこの街を歩いた。夜行列車がでるまでのほんの2,3時間だったけれど、「天文館」というのは今は商店街の名前として残っているだけで、天文台とかそういうものは特にないことに少々がっかりしたり、鹿児島ラーメンがけっこう高くてびっくりしたり、パイナップルジュースがオレンジジュースより安くて感動したり、お土産の「かるかん」は、餡子入りのを買ったり、まあそのような健全な夜。

そういえば、夜行列車で隣り合わせた人が、「ボクは、北海道で医者をやっていて、中島みゆきとは幼馴染なんです」とか言ってたなぁ。ファンじゃなかったので、あまり反応しなかったんだけど、後からもうちょっと感激してあげたらよかったかなぁ、と反省したりしたっけ。まあ、今でも多分反応しない。
考えたら、あれが生まれてはじめての一人旅だった。
ウン十年後の鹿児島は、とてもニート(きれいという意味ね)だった。市電のレールの周りに芝生が植えられていて(ヒートアイランド現象防止のためらしい)、それがカラフルな市電の色と混ざり合って、おしゃれ。ゴミもあまり落ちていないし(ボランティアで拾っている人をよくみかけた)、地方都市(県庁所在地)にはいろいろ行ったけど、人もたくさんいて、全体に元気で豊かな印象を受けた。市電といえばリスボンだけれど、街はお世辞にも美しいとは言えない。「サウダーデ」とかで「小汚さ」をごまかそうとせず、もうちょっと何とかしたら、って思う。観光立国なんだから。鹿児島を見習ってさ。

鹿児島ラーメン、黒豚しゃぶしゃぶ、きびなごのお造り、さつま揚げ、かるかん、城山エール(地ビール)、しろくま(カキ氷)...プラス、城山公園、磯庭園の人知れぬ(地元の人は知ってるけど)山道も歩いてもみる。堪能してるなぁ。
帰阪してから、まだからだがゆったりしている。大阪市内のビジネス街で、かなり人迷惑な動きをしてしまった。ああ、大阪って、みんな歩くの速いねん。
カナダにいるお友達に、「天障院キティ」を送った。「Geisha」と間違われませんように。
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