いらっしゃいませ、
「
安安の夏休み」は、映画「冬冬(とんとん)の夏休み」の原作。なぜ「安安」が「冬冬」になったか?っていうのは分からない。
「冬冬(とんとん)の夏休み」は、台湾の巨匠、ホウ・シャオシェン監督の80年代の作品である。この原作を書いた朱天文さんは台湾で人気の女流作家だそうで、私も他に「台北ストーリー」「荒人日記」を読んだことがある。昔から、ホウ・シャオシェン監督と一緒に脚本を書いたりしていたそうなので、映画はこの原作の細部まで、いやそれ以上に丁寧に作られていて、原作がノベライズではないかと思うくらい。
お話はとてもシンプルで、母親が出産間近なため、夏休みに田舎の祖父母の家に預けられる幼い兄妹の小さな成長物語、といった風情。
その中で、懐かしさを特に覚えるのが、祖父母と孫達の関係。大人たちは幼い子供たちが来たからといって、特に生活習慣を変えたりはしない。大人が決めたルールを子供たちがやぶると叱るし、子供たちもやっぱりやりたいことはやりたいわけだから、大人の目を盗んでいろいろ悪さをする。けれど、祖父母(特に祖父)に対して、子供たちは敬意を持っている。「認めて欲しい」という切ない気持ちも持っている。そしてまた、子供たちの純粋な思いや好意に、大人たちの色のつきすぎた心が少し溶け出したりする。
そんな関係が懐かしい。私が幼い頃、祖父母は私たち孫を「猫可愛がり」はしなかった。孫の言いなりには、絶対にならなかった。悲しいぐらい・・・。そういえば、父が孫を叱り飛ばしているところをみたことがない。できないのだろうな。だから親以外の親族で怒鳴っているのは私だけ。ほほ。
そんな懐かしい思いと、日本の旧き農村に似た風景を感じながら読むと、さらにじわじわくる物語である。それをそのまま映像で味わうことができるのが「冬冬の夏休み」(映画)。
TSUTAYAのアジアコーナーに出かけていって、その95%が「韓流」と「台湾コミックドラマ」である事実に、ガラガラとその思いは崩れ去り、とぼとぼと家路へ向かうのでありました。
セルビデオではあるようです。秋の夜長にはちょうどここちよいかもしれないな。
PR