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Hōkele Malama Columns

親ページが「Residencial Azul」から「Hōkele Malama」に変わったので、このBlogのタイトルも変わりました。渾身の(とまではいかない)Columnページです。

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映画「FADOS」 その奇妙なセンス

いらっしゃいませ、

今日はK1人で徳島。なので、朝なんばまで一緒に出て、なんばパークスシネマでやっている「スペイン・ラテン映画祭」の「FADOS」(邦題:ファド)を観に行ってきました。

シネコンなんて本当に久しぶりなので、予約席なのにちょっと戸惑いつつ、「ウォンテッド」の客の多さに驚きつつ、その客が全部吸い込まれていった後のロビーの閑散さにほっとしつつ。

で、映画ですが。

いやぁー、名匠と言われている方が作ったそうなんですが、何なんでしょうね、この痛々しいセンスは。ファドが常にポルトガル文化圏の影響を受け続けてる、っていうのはいいんですが、取ってつけてる感じがするし、演奏を撮るセンスに光るものを何一つ感じられないし、それと一番しんどかったのが、

なんであるのか分からない「踊り」

振り付けも衣装もパッとしないのですわ。

見所とあえていうなら、その辺の「イタさ」「ダサさ」。突っ込みどころ満載です。狙っているのならすごい。
それと、セニョーラ・アルジェンティナ・サントスの熱唱。これも、声がもう出ないからちょっと辛い。ずーっとアップだったのは、もしかしたら座って唄ってらしたのかな。でも、その存在感は映画の中ではピカ一でした。

最後の方に、セットに設えたカザ・ド・ファドで(もしかしら、ファド博物館かも)、ファド・コリードFado Corrido、ファド・メノールFado Menor、ファド・モウラリーアFado Mourariaの大メドレー。小芝居っぽい表情も突っ込めましたが、唄と演奏はよかった。

まあ、出演者のパフォーマンス(ダンスとマリーザと中途半端なコラボレーション以外)で何とか持った感じ。時間も短かったし。Kが帰ってきたら、「DVDで飛ばし見したらいいんじゃない?」と報告するつもりですが。DVDもないかも。
席は半分ぐらい埋ってたけど、みんな面白かったのかしら?

でも、この映画祭自体のラインアップはとても興味深かったのでした。

「法王のトイレット」
「ビバ・キューバ」
「トニー・マネロ」
「タイム クライムス」
「頭のない女」

観たかったなぁ。今日で終わりなんだけど。DVDとかになるかなぁ。

家に帰ったら、「ボーン・アルティメイタム」をWowowでやっていて、お口直し?が出来ました。
芸術を撮ったからといって、芸術映画になるわけではなく、娯楽映画でも
すぐれた芸術になりえるのです。映画はそういうもんだと思う。
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女ひとりじゃないけれど47都道府県行ってみたい

いらっしゃいませ、

ちょっと軽いものを読みたいなぁ、と思って、

47都道府県女ひとりで行ってみよう」(益田ミリ著)

益田ミリといえば、このブログでも書いたことのある「結婚しなくていいんですか」の著者だから、もしかして重くなるかも、って思ったんだけど、私もひとり旅を何度かしているので、共感できる部分と、んー、ちょっとめんどくさいなぁ、この人、って思う部分と、もっとモノを知っといた方がいいよ、とかがあったりで、やっぱり単に軽い本ではなかったです。でも、この人、1人以外の旅のときは、それなりに協調できる人かもしれない、とふと思いました。旅に出る前よりずっといろんなことを今は知っていると思う。(ところが、この人はそれを「可愛げがなくなった」としてしまう。この辺もちょっと理解できない私。) まあ、一人旅ができる人は、できない人より(できないというか、しようとしない人より)よき連れとなるものです。

さて、47都道府県に生きているうちに行けるか?だーいぶ前にどの県に行っていないかどこかに書いた記憶があるのだけれど、あの時から行っていない県はひとつしか減らなかった。

「徳島県」
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あ、これは、徳島市の「リスボン・モラエス広場」のジャカランダです。
今はここ数年で一番多く行く県となりました。縁というのは不可思議なものです。

なので残りは...

山形県
群馬県
山口県
大分県
長崎県
宮崎県
熊本県

となった。

やっぱり九州は遠い。北海道は「函館」とか「札幌」とか行けば征服したことになるけど、九州はなぁ、ようけあるもんなぁ。

益田さんの本によると、山形県の女の人はとても感じがいいらしい。青森で聞いた評とはだいぶ違う。やっぱり実際に旅をしてみるべきなのかも。
 

さあ、ファドを弾いてみよう #7 唄いながら

いらっしゃいませ、

d35b54d4.jpegさて、当日は2時からやはり「フリーゾーン大道」で練習。本番前にはリハもあるので、ここではさらっとした練習となる。いまひとつ、というか全然うまく弾けない。だけど、あまり歌手の人に負担をかけられないから、全体練習はさらっと流して、うまく行かなかったところをボソボソ練習する。うまく行かない原因は分かっていて、あ、ここでこの音入れないと、って思うと力が入ってしまって、緊張して、結局中途半端に弾いてしまうこと。

そこで、「あいまいなところは弾かない。弾けるとこだけ弾く」と、開き直って、さてリハまでも時間があるからどうしよう~」ってことになる。

「ビール飲みに行きましょか?」「えー!本番前の昼ビール?!」「気分が大胆になります。」

てなことで、じゃあ昼ビールの美味しいところはどこよ?

「カプリチョーザ」なら、サントリー系なのでプレミアムモルツが旨いです、ってことで、新町川リバーサイドのお店へ。多分、ここのカプリチョーザは、日本一ロケーションがよく、居心地がよい。料理の味は同じだけれど。私とMT氏は2杯頂いてしまう。気分は大胆、晴れやか。ライブ会場である「アンカー・ベイ」へ向かう。リハからそのまま本番に入れるので、そういうシチュエーションは素人演奏者には非常に助かる。

さて、リハ。初めて、ちゃんと弾く。本番に強いわ、私。いやいや、まだ、リハ。こういうときは、えてして本番に失敗したりするので気を引き締めなきゃ。で、18時前から、わさわさと人が入ってくる。始まる頃にはもうぎゅうぎゅう。演奏者と客席が、「あ、どうも。」っていう距離。でも、段のついたところより、この方が私的には落ち着く。

さて、本番が始まるとあることに気づく。観客の視線はファディスタと、初めて目にする人がほとんどであろうポルトガルギターにしか向いていない。ますます、気が楽になっていく。KKさんの「コインブラ」では、鼻歌まで出てしまう、私って。

で、一番緊張する(はずの)演目が始まる。途中からポルトガルギターの演奏がなくなるのだ。何故なくなるのかは、徳島以外では口外してはいけないことになっているので言わない。けれど、やはり観客の視線はファディスタに行っていることに安堵しながら引き続ける。

でも、B♭はやっぱり苦手だ。

途中、MT氏が、「女性のヴィオリスタは珍しい」と紹介する。でも、もしかしてギターが一番入りやすいかもしれない。ファドをやりたいけど、唄うのはどうも。。。ポルトガル語がどうも。。。ポルトガルギターは難しそう。。。だったら、ギターの伴奏がお薦め。一番リズムがわかるところだから、そのうちすぐ唄えるようになる(かも)。コード弾きができたら大丈夫だと思う。気軽に始めてほしいなぁ。

ライブが終って外にでたら、まだ明るい!夏の夜の始まりに、私の「ファドを弾いてみよう」の旅は終ったのでした。

さて、次は唄ってみようかな。(終わり)

さあ、ファドを弾いてみよう #6 真夏の鯛焼き

いらっしゃいませ、

さて、リスボンから帰ってきてすぐにギターを取り出して弾く。気持ちが盛り上がっているせいだったのでしょう。すると不思議、今までモタモタしていたコード変更のときのベース音が自然に出てくる。お!リスボン効果!心なしかリズムも本場っぽい気までする。

が、こんな調子はすぐ消える。

海外に行くと、普段しないことをやらなきゃいけなかったり、もちろん日本語じゃない言葉をしゃべったり、また日本人と違う人々と混ざり合って過ごしていると、日本に帰ってきてしばらくの間は、そのままの「日常的でない自分」でいけることがある。若い頃は特に、何事にも自信をもってテキパキ動けたり、英語をおっくうがらずにしゃべれたり。けれど、こんな調子もしばらくすると、日本の湿気とともに沈下していく。それと同じことなのかもしれない。現地の風に吹かれて、「雰囲気」をまとって帰ってきても、結局それは「ホコリ」みたいなものだから、日本のじっとりとした風に、すぐに持っていかれてしまうのだ。

昔、「バイリンガルの研究」という学問について、英語学の博士号をアメリカで取ったという同僚がこんなことを教えてくれた。
「バイリンガルは自然に生まれるものではないの。外国で暮らして、現地の小学校で英語で話し、家に帰って親と日本語で話す生活をしている子供は、二つの言語を毎日使う訓練をしているのであって、日本に帰って英語を見聞きする機会がなくなると、すぐに英語は忘れてしまうの。バイリンガルを保つためには、日本に帰ってからも英語を同レベルの環境で使い続けたり、意識的に勉強し続ける必要があるの。バイリンガルは人為的に育てるものなの。」

ほお、って思った。この努力は大人になればなるほど大変になってくるのだ。確かに。

話は、ちょっとだいそれた方にいっちゃったけど、本場の国で付いた「ホコリ」を定着させるには、その感覚を忘れないように練習し続けなければいけないし、さらに思うのだけれど、そもそも「ホコリ」ではどっちみち吹き飛ばされてしまうので、ちゃんと「技術」をきちんと理解して持ち帰らないと、何をどう練習し続けてよいのかわからないのだ。

では、私が1週間で理解したヴィオラの「技術」とは。。。ないよ、向こうで習ってきたわけじゃないから。だけど、「ファドは楽しい」。それだけは身体がまだ覚えている。徳島では楽しく弾こう。

7月の徳島は、暑い。大道フリーゾーンの冷房をつけてふと大通りの向こうをみると、ない。鯛焼きやの行列が。これはもちろん暑さのせい?実はそうでもなくて何ヶ月か前から、以前のような行列がない。
「徳島の人は、すぐ飽きるんよ」 ファディスタのKKさんが言う。そうそう、今回KKさんは「コインブラ」をやるんだっけ。毎日Pateoで聴いたな。そう言えば今回は、「難船」や「暗いはしけ」や「Chuva」を唄う人はいなかったな。なんだか、あんなような曲たちはPateoに似合わないような気がしてる。あくまで「気」だけど。

話がそれた。そう、で、鯛焼きを買う。やっぱり「小倉あん」は美味しい。冷房の効いた部屋で、ホクホク頂く。今回は、練習を録音した。やっぱり、唄がないと、なかなかタイミングとかが分からない。大阪に帰って、KにMP3に入れてもらって、毎日通勤電車の中で聴く。

そんなこんなで、あっという間にジャズストの日がやって来た。前日の夜に遅いフェリーで徳島港に着くと、やっぱりMTさんが迎えてくれた。この瞬間が一番ホッとする。

そして、本番。なんだかとても意外に展開していく。(続く)

 
 

さあ、ファドを弾いてみよう #5 声力

いらっしゃいませ、

もう少し、リスボン。

今回は、いろんな人の歌を聴いた。素人さんも含めて。
とにかく、夜遅く聴くわけだから、歌手によってはその歌唱が睡魔を増幅させることもある。
Pateoでは、初めて聴く男性歌手が1人、それから何故かリスボンでコインブラファドを歌うおじさん1人。本当にこの人の時はイスから転げ落ちそうになった。コインブラファドってもともと面白くないから好きじゃないんだけど、リスボンファドと一緒に聴くとよけいつまらなく感じる。なんか、損した気分になるのは私だけやろか。他のステージ全体のバランスも悪くなる。

もう1人の人はリスボンファドだったんだけど、「何で眠くなるんだろう?」ってKに聴いたら、「表現力ないんやろ。」
そうか、バレットさんやシーコさんやジュリエッタさんの歌はメリハリがあって、ギュっとなる瞬間があるんや。眠気も吹っ飛ぶ。それと、声や歌唱に表現力がある人は、「歌の終わり」で違いがわかるような気がする。

CDでは、普通に歌が終ることが多いのだけれど、ライブの場合は、
 
歌を止めて、アカペラ状態で歌を盛りあげて、再び伴奏がついて終る。
歌を止めずに、歌を盛り上げて、終る。

一つ目は分かりやすいので、誰でも「ああ歌の終わりで盛り上げてるんだ」って分かる。二つ目は聴きなれていない人は不意をつかれるようにも思うのだけれど、やっぱりうまい人は自然に、本当に何気なく曲を盛り上げて、聴く人を歌の終わりに導く。個人的には、二つ目の方が好き。ファドの醍醐味を感じるのだ。

伴奏を勉強してて、二つ目の方をやるとき、ファディスタにそうとうの声力がないと、伴奏している方が気が付かないかも、って思った。もちろんプロの人はどこで終るのか分かって弾いているからいいんだけれど、素人ヴィオラ弾きの私はわからないんだな。だから、止まってもらうほうがいいのだけれど、え、あぁ、止まったの?と慌てて伴奏を止めることになる。歌を止める方も、止まる前に、ボディアクションもなく止まるのが分かる人もいるのだ。つまりそう、これも声力。声が大きい、のとはちょっと違う。

実際に、ファドの中に入って、それでまたファドの外に出ると、初めて聴こえてくるものがあるなあ、って思った。さあ、日本に帰って、徳島に行って、またファドの中に入ろう。

たくさんのプレーヤーやファディスタに、たくさんのObrigadaを言って、深夜2時、リスボン空港を飛び立つ。「Bom Dia」と声をかけられて。 (続く)

 
 

さあ、ファドを弾いてみよう #4 ファド博物館はおおにぎわい

いらっしゃいませ、

さて、バイロアルトの名門Casa do Fado「O Faia」には、2周目めの演奏が始まる前に入った。Kが、フロアボーイに「今日は、セニョール・シーコは歌いますか?」と訊く。お店はおぼ満席で、私たちは店の一番奥の、少し高いところの席にすっぽりおさまって、サングリアとビールをちびちび飲みながら、ファドとか聴く。「ファドとか」って書いたのは、ときどきファド以外の曲を歌手が歌うから。スペインの歌とか、フォルクローレとか。そんなとき、気のせいか照明が真っ暗にならない。

ファドが唄われるときだけ、店の照明は落ち、「歌手」は「ファディスタ」と呼ばれるのだろう。

...なんて。

Chicoさんの前の歌手のあたりから人が減っていく。そもそもこの店は団体客が多いから、引けるときは一気である。ミスター・ビーン似のフロア係君が、私たちを演奏フロアのかぶりつき席に案内してくれた。その時には、まだ個人客がちらほらいたのだけれど、後ろから「やあ、よく来てくれたね」って感じでChicoさんが音もなく、それでもでっかく登場した頃には、客は私たちだけ。

こんな感じ。
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「O Faia」貸切、Chicoショー。それでもChicoさんは、力強く暖かい声でさすがの歌唱を聴かせてくれた。いい人だ。

夜はそんな感じで過ごしたのだが、ほぼ毎日出かけた先のひとつが「ファド博物館」。実はこの夏の間、リニューアルのため閉館中。ただ、私たちが行くのは教室で、こちらはずっとあいている。受付で「パレイラ先生いる?」って訊いて、正面左側の階段を下りる。このスクールには色々な人がやってくる。一番多いのはやっぱりポルトガルギターを習う人。おっちゃんから10歳の男の子まで(この子がいちばん上手だった。)歌を習っている人も1人来た。地声で唄うのがやっぱりいいなぁ。楽しそうに数曲歌って帰っていった。伴奏は、パレイラ先生・K・パレイラ先生の生徒さん二人、1人はヴィオラ、こんなうるさい伴奏に負けない声で楽しそうに歌ってた。

そうそう、ヴィオラ。1人だけいたヴィオラの生徒さんは、ベンツに乗るおっさん。ここでもKが「彼女は最近ヴィオラを練習している」って言ったので、彼がギターを貸してくれて、先生やKと一緒のところを写真に撮ってくれた。全部ピンボケだったけど。

このおじさんは、ギター歴は長いらしく、ハイポジで弾いたり、「ディミニッシュ・セブン」とか入れまくったりとか、すべてのコード替えでベースを弾いたりとかするんだけど、そのせいか、いやそのせいで、とにかく「くどい」「やかましい」。「弾きすぎて唄いにくいヴィオラ」って話をたまにきくけど、こういうことか。そこに複数のポルトガルギターがかぶさり(先生とK以外は、弾きたがりばっかりだったし)、生徒さんの友達の男性ファディスタも加わり(教室の生徒じゃないぞ!)、そんなセッションが夕方から、レストランの個室に場所を替えて、深夜まで行われた。みんな、好きなのねー。私はもういいや。はやく寝たい。でも、日本でも、弾く人や唄う人がこんな風に増えて、誰かが何か弾きだして、誰かがそれに被せだして、誰かが好きな歌詞で唄い始める、っていうことができるようになったら、いいな。

CDだけで聴いていたファドだけれど、生で毎日、上手なのもへたくそなのもいっぱい聴くうちに、CDとは違うあることに気づいた。(続く)

さあ、ファドを弾いてみよう #3 リスボンにて修業

いらっしゃいませ、

p0034.jpgさて、6月の徳島での練習会。6月1日はおりしも『世界一低い山』弁天山の山開きだった。「T家のコラム-ファドヶ島」にも書いたのだけれど、何かの区切りに必ずこの弁天山は登場する。徳島ジャズストリートへ出演の決意も新たに!...だったかどうかはさておき、

6月25日にKが先にリスボンに発つ。さて、そうなると、私の練習態度がガラリと悪くなる。てか、練習しない。仕事から帰って、ご飯作って、ご飯食べて、ビール飲んで、って中に、なかなか「ブン・チャ」の練習は入り込めない。仕事の方もゴタゴタしてくるし、とにかく早くリスボンに行きたい。。。

っていう思いは、当然時が解決して、7月5日現地時間の深夜、宿泊先のベッドに倒れこんだ。

ポルトガル滞在中は、Kのポルトガルギターの師匠であるアントニオ・パレイラ先生の田舎のおうち(海側のアレンテージョの小さな村にある)に泊まった夜以外は、すべてCasa do Fadoで過ごした。そのうち、Velho Pateo de Sant'Ana (パレイラ先生の弾いているお店、以下Pateo)、Fado Maior ではKが弾くので、写真を撮ったり、Pateoの大部屋のときは端っこに座って、失礼なポルトガル人の子供にじろじろ見られたり(どこの国に限らず、子供は失礼なものだ。)しながら過ごす。

さて、Pateoでは、演奏待ちのギタリストやファディスタたちは、エントランスと大部屋の間の空間で過ごすことが多い(サッカー放映のある日は、テレビのある部屋なんだけど)。そこで座っていたときに、Kが「彼女は最近ヴィオラを練習している」って言ったもんだから、当然「弾け、弾け」ってことになる。(Kの生徒さんがこの店に行った時も、楽屋で「弾け、弾け」と言われて、舞い上がって一番嫌いな曲を弾いてしまったそうな。)
大部屋の端っこに立ててあったヴィオラを誰かが持ってきて渡す。飾りだと思ったら、ちゃんとチューニングが合ってるの。実用的なのだ。(ちなみに、同じように飾りっぽくそこに掛けてある黒いショールは、オーナーの奥さんが歌うときに、サッと取っていくのだ。)

そこで、ここんとこ全然練習していなかったのが仇となって、「レモン売りのローザ」のコード進行が全然出てこない。「覚えてへんの?!」って、Kに突っ込まれる。おぼえてへんわ、そもそも。それでも適当に2コードとか弾いていたら、ヴィオラのギレルメさんが、「オレの代わりに次出てくれよ」とか物憂げに言ったりする(この人は全体が「物憂げ」である)。基本的に、ここの人たちは優しい。たいがい誉めてくれる(女だったら特に)。なので、ニコニコと受け流し、適当なところで切り上げる。でも、そうか、これを、「リスボンで修業し、」ってことにして、ジャズストのプロフィールにしてもいいかも(しないけど)。

一晩だけ、二人でちょっと正装して、バイロ・アルトの有名店「O Faia」に行った。前回(2006年)、リスボンに行ったときはPateoで唄っていたChicoさんが唄う日、というので。さて、そのChicoさんの歌を、私たちは「O Faia 貸切状態」で観ることになる。 (続く)

さあ、ファドを弾いてみよう #2 音源に馴染もう。

いらっしゃいませ、

コード譜ができて、「ブン・チャ、ブン・チャ」の練習を始めたわけだけど、今回のライブは全部で10曲、ポルトガルギターの2コードアドリブ弾きを除いても9曲、そのうち、初めて聴く曲が3曲、ということで、まず曲に馴染む必要がある、と、Kに音源をもらう。以下がセットリスト。

01. Cavalo ruço
02. Laranjeira florida
03. Confesso
04. Coimbra
05. Variações em fado corrido
06. Júlia florista
07. Tudo isto é fado
08. Estranha forma de vida
09. Não venhas tarde
10. A Rosinha dos limões


まったく知らなかったのが、1と3、普段ほとんど家の中では聴こえない4と8。曲に馴染まないと、テンポも取れないし、入り込めない。なので、MP3に入れて通勤時間に聴くようにしたのだけれど...

まずもらった「Confesso」が困った。オーケストラがバックのアマリア版。リズムもわからないし、単に音楽として聴くだけでもしんどい代物。男性版の、ちゃんとしたファドの伴奏のやつを探して入れてもらう。
でもどうなんやろ、初めて聴いたファドが、バックがオーケストラだったり、サックスだったり、ピアノだったりすると、そしてそれがいいと感じると、ずっとそっちがそうだ、って思ってしまうんだろうか。人それぞれだけど、何か結果的に「もったいない、気の毒な」感じがする。私ははじめて聴いたのが、旅先の名も知らぬCasa do Fadoの、おっちゃんのポルトガルギター伴奏でつくづくよかったなあ、と思う。あのリズムが好きなのだもの、オーケストラやピアノの伴奏によるあのドライブ感のなさは、スーパーマーケットや商店街のBGM化された哀しき名曲たちを、何故か思い起こさせる。いくらアマリアでも、ファドには聴こえない。(まあ、この人は「自分が歌えば全部ファドよ」って言っちゃう、愛すべき天才だから、いいのだ。凡人は真似しちゃいけないと思うけどね。)

次に困ったのが、「Estrada forma de vida」、これもアマリア版なのだけれど、ギターの伴奏が「ブン・チャ」でなくて「アルペジオ」。どこまで自由なんだ、この人は。とにかく入れてはもらったけど、アマリアのこの2曲は毎日飛ばして聴いていた。 この曲は、現地練習で、何とか感じをつかまなくちゃ。

さて、コード弾きをしていると、やっぱり合間のベース音もやりたくなる。前述したとおり昔やっていたブルーグラスは、コードの変わり目にギターでベース音を叩く。そういえば、コードの変わり目だなぁ。同じコードが続くところではやらないけど、ファドはやる。これはやっぱり歌の合間のもの、歌手が歌いやすいように、っていうとこからなのだろうか。ベース音の入れ方は、ブルーグラスとは似ているようで全然違うので、Kに入れ方のパターンを教えてもらう。

なかなか身につかないでいると、Kに「ちゃんと弾けないんだったら弾かないように。歌を邪魔したら駄目だから」って言われる。ちょっと哀しくなるけれど、やっぱり弾きたい。じゃあ、弾けるようになって、歌を邪魔しなきゃいいのだ」

実は、弾きたいところでちゃんと弾けるようになったのが、本番前のリハのとき。スリル満点ですね。

まだ、しかしながら、あまり実感のわかなかった、この頃... (続く)

さあ、ファドを弾いてみよう #1 500円のフィンガーピック

いらっしゃいませ、

2e9ac36c.jpegさて、先日(8月4日)、徳島ジャズストリートで、ウン十年ぶりのライブ出演をしました。ファドの伴奏(ギター、現地の言い方だとヴィオラ)でした。いやあ、大胆なことをしたなぁ、って思うのですが、それにいたる顛末とか、間にリスボンに行ったときのこととかを交えながら、何回かに分けて書きたいと思います。ある程度のものがかけたら、「T家のコラム」にアップするかも。お付き合いのほどを。

8月のジャズストリートに出る、というのがきちんと決まったのがいつだったのかは、はっきりしなかったのですが、自身のギターで「徳島ファド教室」の伴奏のお手伝いを、と考えていたのはいたので、「Martin D-28」に柔らかい弦をKに張ってもらいました。それが春ごろかしら。

ファドのリズムは「2拍子」が基本。「ブン・チャ、ブン・チャ」。1999年にリスボンで初めてファドを聴いてから、考えたら10年近くにはなるけれど、ただ「聴いた。観た。」だけで、特に興味がなかったのは確か。実際に深くコミットし始めたのは、やはりEsquina do Somの写真やライブのお手伝いを始めてから。だから、5年ぐらいは聴いていることになる。とりあえず聴いた感じで伴奏してみたところ、まず指摘されたのが、

「ベース音が小さい」

「ブン」のところですね。後述しますが、学生の頃にやっていたのが「ブルーグラス」というアメリカの音楽。これも二拍子ですが、「ブン」のところはピックで上からガツンと叩いて弾く感じ。だけどファドの「チャ」は、普通のピックでは弾けない。

そこで、「フィンガーピック」の購入を考える。近所のヤマハに出かけて、物色。安いのは100円以下でもある。ここで、年齢的なかつ安易な思考に走る。

「高い方が、いい音が出るに違いない。」

指の大きさに合わせて、サイズを変えられる仕様。500円。けっこうな値段である。しばらく迷ったけれど、年齢相応の判断に走り、購入。この「指の大きさに合わせてサイズを変える」仕様が、後に吉と出たり凶と出たりする。

フィンガーピックを使うのは初めて。確かにベース音が大きくなるけれど、今度は「チャ」の方が貧弱に聴こえる。「チャ」は人差し指・中指・薬指を使う。それ用のフィンガーピックをつけたらどうか、って話になる。つけてみる。シザーハンズのような指になる。弦が捕まえられない。弾いてて気持ち悪い。

地指(?)で頑張る! ってことでシザーハンズ指は却下に。

徳島のファイディスタの曲が決まり、キーも決まったのでコード譜を作る。「ここは繰り返し」「間奏はBメロ」など、ファドには決まりがあるのだけれど、とにかく時間がないから、多分カラダに覚えさせるには時間がかかるに違いない、と頭から最後まで順番どおりのコード譜をExcelで作った。

ただ、まだなんとなく、実感がなかった、この頃... (続く) 

ミッション・インポシブル

いらっしゃいませ、

さて、ある重要なミッションがあって、大量のネガを捜索。探すこと小一時間、再スキャンすること小一時間、汗だくの日曜日。そんな中で、一眼レフ(アナログ)をセールで買って、Nadarの写真教室に行き始めて、モノクロプリントをやり始めて・・・のこの7年が一気に押し寄せる。

最初は、カラーでスナップ。いわゆる「何気ない日常を切り取る」ってやつ。(ああ、いやなの。このフレーズ)それから、ポートレートがあったり、旅先のシャッターおしまくりがあったり。モノクロプリントをやり始めたら、圧倒的にネガは白黒の方が多くなる。

それから欠かせないのがやっぱりライブの写真かな。最近はめっきり撮る量は減ったけど。Esquinaも6年かぁ・・・

なんてことをやってるから、小二時間もかかるんだって。

先日は、中崎町のカフェ「Tina Lente」でEsquinaのライブ。
このミッションにも関係することで、初めてデジカメでライブを撮る。
000342-2.jpg







ちっこいデジカメは本当に難しい。一眼レフのを買うか、中間の「とにかくちゃんと構えて撮れるやつ」を買うか、考え中。画質はまだまだアナログに叶わない。だけど、焼かないのであれば、作成スピードは圧倒的にデジカメ。フィルムスキャンも品数が薄くなってきてるし。ちょっとカタログなどを集めたり、ヨドバシチェックしてみようと思っています。

さて、ミッション、皆様にお知らせできるようなことになれば、こっそりお知らせします。





プロフィール

HN:
DonaT
HP:
性別:
女性
自己紹介:
被写体に恋をしたらシャッターを押し、フワフワしてきたら文章を書き、もわもわしてきたら花に水をやっています。
写真のこと、旅のこと、本のこと、言葉のこと、音のこと、などを描いて撮ってます。

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